採用代行の仕事をしていると、さまざまな規模・業種の採用現場に関わります。そこで感じるのは、採用予算や媒体の選び方より、もっと手前のところで差がついているということです。媒体を変えても、面接官を増やしても、なかなか採用が回らない会社というのが一定数あります。
一方で、特別に大きな予算をかけているわけでもないのに、毎年ちゃんと採用できている会社もある。その違いはどこにあるのか。8年かけてぼんやり見えてきたことがあります。
結論から言うと、採用が上手い会社は「採用を、誰かに任せる覚悟ができている」と感じます。
これは外部に丸投げするという意味ではありません。採用担当者が現場や経営と分断されずに動けていること、あるいは「採用に詳しい人に権限を渡せている」ということです。採用が上手くいっていない会社で多いパターンを挙げると次のようになります。
- 経営者が採用の最終承認者なのに、現場の詳細を把握していない
- 採用担当者が優秀でも、動かせる予算・手段に制限が多すぎる
- 面接官が現場の感覚で動いていて、採用基準が属人的
- 「採用はHRの仕事」と切り離されていて、事業部と連携できていない
要するに、採用が組織全体のこととして機能していないケースです。
採用が上手い会社の経営者は、採用の細かい実務には口を出さないけれど、「どんな人を採るか」「採用に何を期待するか」という方針はとても明確です。その上で担当者に権限を渡している。
この「任せ方」が機能している会社では、採用担当者が自信を持って動けます。候補者に誠実に向き合えます。スピードも上がります。逆に、任せていると言いながら都度確認が必要な会社では、担当者は疲弊し、候補者への連絡も遅くなり、結果として内定辞退が増えます。
採用が上手い会社の共通点:「採用を誰かに任せる覚悟ができている」=方針は明確に持ちつつ、実務の権限を担当者に渡せている状態。
RPOも同じ原理で動いています。外部のプロに採用の一部または全部を委託する際、上手くいく会社と上手くいかない会社があります。上手くいくのは、依頼前に「何を任せるか」「どこまでを社内で判断するか」を整理できている会社です。
採用代行を検討する際のチェックポイントとして、以下を考えてみると整理しやすいです。
- 採用の目標(人数・時期・職種)が言語化できているか
- 社内の採用担当者が窓口として機能できるか
- 最終意思決定のルートが明確か
- 委託範囲と社内で担う部分の境界線を引けているか
これらが曖昧なまま外部に依頼しても、効果は限定的になります。RPOはあくまで採用力を「増幅」させるものであって、採用戦略を「代替」するものではないからです。
採用が上手い会社は、特別なツールを使っているわけではありません。採用を「任せられる状態」にするための組織の構造ができているだけです。その構造を整える支援をするのが、採用代行(RPO)の本来の役割だと私は思っています。
採用でお悩みの方は、ツールを変える前に「誰が何を担うか」を一度見直してみると、意外と問題の根っこが見えてくるかもしれません。

